入山前の情報にて、雨に濡れる事は覚悟していた。
姿見駅から見る旭岳の頂上は、低く垂れ込めた雨雲に隠されている。
憂鬱な気分で出発し、このあとコース変更を検討する程の強風雨に見舞われる。
旭岳の頂上は、正に吹きっさらし状態! これからやや高度を下げて向かう白雲岳方面も状況が変わらない場合は、コース変更もしくは風を避け早めの幕営…と言う事にしたが、高度が下がった分風はやや弱まり、目的地の白雲避難小屋に辿り着けた。
今年は、日照時間が短かかった為、残雪が多い。いつものお花畑は、大きな雪渓の下にまだ眠っている。 この数日後、あの悲惨なトムラウシ遭難事故が起こってしまう。 我々ならどうしたであろうか? 我が身に置き換え反省すると同時に、遭難者のご冥福を祈りたい。
白雲岳の幕営地は風下になってはいる物の、風は強い。
寒さを堪え、どうにかテントを張り
コンロの火とウィスキーでホッとする。
11日は、白雲岳からヒサゴ沼までの行程だ。
稜線上、時折風は強まるが、花を楽しむ程度の余裕はあった。
終日、展望の無い稜線歩き。やや残念。
化雲岳周辺のお花畑も、花が少なくやや寂しい感じ。
ようやくヒサゴ沼が見えてきた。
展望は利かなかったが、延々と続くコマクサの稜線やその他の花々も楽しめたし、マア良しとしよう。
12日。今日は、トムラウシを経て東大雪荘まで約10時間の長丁場だ。
ヒサゴ沼を出て稜線に出る頃ガスが晴れてきた。
日本庭園付近では、目を見張る自然の造形美に、暫しボーゼンとする。
遠くに、昨日歩いた化雲岳が見える程に天気も回復。
トムラウシもそのピークを覗かせた。
逸る気持ちを抑えつつ、一歩一歩味わい楽しみながら歩く。
ナキウサギの棲むロックガーデンへと向かう。
ナキウサギの声はすれども姿は見れないだろうと思っていたら、ナント! 大サービス!!
こちらを向いてしばらくポーズをとってくれた。
ロックガーデンを過ぎ、いよいよトムラウシが目前に迫る。
よっしゃ~。とうとうやって来ましたぁ~っ。
あそこがピークだぁ~。
…と、ここで、余裕をカマして北沼で暫し寛ぐ。
ピークまでもう一息。
憧れのピークに立つ。
さあ、これから長いナガイ下りが待っている。
あせらずボチボチ行こう。
トムラウシ公園付近が見えてきた。
花も、前トム平あたりまで楽しめる。
コマドリ沢の雪渓を下り、カムイ天上まで足元の悪い道が続き体力を奪われる。
温泉とビールに思いを巡らせ、ひたすら耐え下り続ける。
トムラウシ山は、トムラウシ温泉より短縮登山コースを利用した往復登山が一般的だが、この場合はその良さの半分も味わってないように思う。
少々シンドイが、縦走する事でこの素晴しき“神々の遊ぶ庭”にチョットお邪魔する事ができる。 何度訪れても飽きる事が無い。